工藤、横浜へ

唖然。
アゴ倉氏の人的補償ということですが、巨人側としてはこの上ないラッキーな出来事ではないでしょうか。
原監督が就任した2005年のオフから、「打てない、守れない、抑えられない、年俸が高い」の四拍子揃った「不良債権」の処分が進み、清原、江藤、元木、後藤、岡島、桑田と錚々たるメンバーがリストラにあいました。結果としてベテランの不足と言う事態を招き、他球団からのベテラン獲得に及んだのはいただけないですが、思い切った首切りをした結果少なくとも生え抜きについては「使える」メンバーだけが残ったのは良いことでしょう。工藤の放出でひとまずリストラは完了と言っても良いでしょう。


一方、横浜側としてはとんでもない補強ミスをしたのではないでしょうか。
1990年代後半から進めてきた高校生の獲得による投手・野手の中堅層の不足は、2002年からの「5年で4度の最下位」の大きな原因となったものの、2007年の現在になって「イキのいい若手」がうじゃうじゃいるチーム状況を作り出しました。
「3年後の優勝」を目標にしている横浜に必要なのは、ベテランではなく「1段レベルが上の若手・中堅」。そういう意味では「多村←→寺原」のトレードは正解だったと思います。ここで、横浜が工藤を獲得したことで先発投手陣は

三浦
△工藤
チアソン
△土肥
川村
加藤

と6人揃ってしまい、高崎、秦、高宮、山口、那須野といった「今の」若手は自然とリリーフやファームに回されます。3年後には工藤はいなくなるでしょうし、川村や三浦、土肥といった中堅層も晩年に近づいて大きな活躍は期待できません。その時点で前述の選手たちは20台中盤。もう旬の時期を過ぎており、そこから先発に持ってきてもいきなり15勝の活躍は期待できません。
つまり、工藤の獲得によって3年後に優勝するためチーム構想はめちゃくちゃになり、横浜復活はより遠くなってしまったと言っても過言ではないのです。
工藤は「勝ち方」を知っているので、シーズン中全く戦力にならないということはないでしょう。先発に回る川村や加藤もそれなりに活躍すると思います。しかし、彼らが活躍すればするほど若手投手のモチベーションは落ち、「3年後」のチーム構想が崩れていくという現実を横浜球団は直視すべきでしょう。今季の3位は3年後の「指定席」に繋がっているのです。


・・・まぁ、オープン戦で工藤やチアソン、川村が大炎上して若手にお鉢が回れば万事オッケーなのでしょうが。