初夢?妄想ペナントレース2009・パ

9割願望。主観入りまくりの「初夢」です…
73勝70敗1分。3位。今までのホークスでこの成績ならば、批判一色に塗り固められていたはずだ。しかし、この1年の戦いに文句をつける者はいない。それは、「若い力の台頭」という確かな手ごたえを感じていたからに他ならないだろう。

3・4月

準決勝でアメリカに敗れ連覇を逃したWBC日本代表だったが、故障者を殆ど出さなかったことで多くのファンを安堵させた。たった一人、本塁突入時に膝を痛めた松中という例外を除いては。
またしても代表派遣で主力を欠いてペナントに臨む事になった新生ホークス。松中に代わる4番は小久保。柴原を5番に据え、本間の開幕DH、復帰村松のベンチ入りなど、予想通りV1メンバー中心の戦いを進めようと画策したが、昨年以上に彼らに衰えがはっきり見て取れる。4月だけで「多村敬遠→小久保凡退」が6度もあった「元・主砲」小久保。腰痛で毎試合のように辻の代走を仰ぐ柴原。すぐに定位置の「切り札」に戻ったが、代打率1割の本間。盗塁成功率3割の村松。投手陣は新垣の復活で「新4本柱」が形成され、水田らベテラン勢に代わり小椋・森福・ファルケンボークが中継ぎ陣に定着、昨年がうそのような安定感を持ったものの、打線の不振で好投報われず敗戦、という展開が毎試合のように繰り返される。GW前の時点で、8勝13敗。首位争いから大きく取り残された上、開幕以来一度も貯金を作れない現状を前に、早くも秋山解任論が浮上する。

5・6月

GWの9連戦を前に、遂に首脳陣は動く。6月上旬に予定されていた松中復帰に合わせての野手のメンバー交代を前倒ししたのだ。打率1割近辺をウロウロしていた小久保・早くも底が見え始めたアギーラをスタメンから外し、7番で明らかにモチベーションが低下し、大振りが目立った松田を3番に、小久保の守備固めと代打の3番手という微妙な立場にあった小斉を5番に、開幕ファームの悔しさをウエスタン三冠王で晴らしていた中西を6番にと大抜擢。新たな4番の多村も含め、立花コーチが彼らに指示したことは「つなぐ意識」の徹底だった。あまりにも急激な改革にチーム内外から不安の声が上がったが、秋山は「ここで変わらなければいつ変わる」と動じない。5月に入ると徐々に得点力は上がり、投手陣の疲れを打線がカバーする形で、交流戦前には借金を1まで減らした。
交流戦に入ると投手陣に余裕が生まれ、新四本柱の疲れを中継ぎ陣が支える展開が多くなる。中でも光ったのがルーキーの摂津。先発が早く降板した試合のリリーフという損な役目を一手に引き受け、ソツのない投球でホークスに流れを呼び込み、勝利へ導いた事も。ロー・ホールトンが安定感を欠く中、交流戦明けにはローテ入りの可能性も浮上した。良い流れでの戦いが続き首位にも立ったものの、終盤に入って打線に疲れが見え、2試合連続完封負けを含む4連敗。14勝10敗で交流戦連覇は逃した。後半戦に向けて「新四本柱に次ぐ先発」「パンチ力のある打者」が求められた。

7・8月

早くも例年の秋口のようなチーム状態になってしまったが、ここで大きな戦力がホークスにもたらされた。主砲・松中と、元エース・斉藤の復帰だ。松中はDH・4打席限定での起用になったが、一塁は小斉、外野は中西、多村、柴原が定着しているので問題なし。松田が好調で3番に固定でき、松田・松中・多村のクリーンアップが完成。斉藤も中6日・6回限定での起用となったが、例年と違って中継ぎ陣が安定したためどんどん勝ちが舞い込むようになり、先発に転向した摂津も含め先発ローテが完成した。7月失速というジンクスを今年もトレースし、呪われたかのように失速した楽天とは対照的に、ホークスは7月を、貯金を二つ作って3位で終え、万全の体制で8月を迎えた。
しかし、8月にはいるとリリーフの中心・馬原に異変。3試合連続セーブ失敗でファームに下がってしまう。連鎖的に中継ぎ陣も疲れを見せ始め、ローテ入りした摂津もKOが続きファームへ。野手では中西が月間打率.167と全く冴えず、終盤には多村が故障。ストッパーの穴はファルケンボーグが埋め、ローテにはホールトンが好投、センターは辻が健闘したが、それでも五つあった貯金を一気に吐き出す苦しい展開。8月を終えて5割ちょうどの成績は「ぜんぜんダメ」ではなく「良く持ちこたえた」という表現が似合うほど。昨年同様、後半戦に調子を上げてきたオリックス中田翔が6番に定着して打線の弱さを完全に解消した日本ハムとの争いに勝ってのCS進出に黄信号が点る。

9・10月・CS

「またいつものパターンか…」
ここ数年のホークスを見てきた誰もがそう思った9月初め。しかし、秋山ホークスはここからの粘りに違いを見せる。投手では水田・篠原。野手では小久保・本間のベテラン陣を、ここで使うために温存しておいた、と言わんばかりに起用。代打稼業で「ホームランよりヒット」と意識改革をした小久保は7番に座り、以前は見られなかったような渋い当たりを連発。水田・篠原は以前攝津が勤めた位置に収まり、森福・久米ら勝ちパターンのリリーフを、競っている試合にだけ起用できるようにお膳立てをした。中盤には馬原・多村が復帰。中西も調子を取り戻し、ようやくベストメンバーが揃ったホークスは終盤の7連勝で一気にCS進出を決めた。
CSでは新垣の中継ぎ起用が裏目に出て第一ステージ敗退となったが、2位西武とのゲーム差は6。現時点での実力差は明らかであり、仕方のないところ。


何といっても、今年のポイントは新戦力の台頭だ。松田が3番で20ホーマー、小斉と中西、そして高谷は初の規定打席到達、森福と久米がセットアッパーに定着し、森福がホールド王に輝いた。摂津も地味ながらチームの浮上に大きく貢献した。しかし来季に向けて、若手の台頭はこれだけに留まらない。消化試合ではウエスタン連覇のファームから二桁勝利の大場・巽・岩崎・大田原が一軍に。巽・大田原はKOされたが、岩崎は6回2失点で惜しくも敗れ、大場は完投勝利。目だった新戦力の出なかった野手でもファームでは、福田・荒川・中村が規定打席に初到達・江川がホームラン王になる等、世代交代の波は確実に押し寄せている。戦力一新の2012年に向けた「基礎作り」という観点では大成功の1年であった。


実際はもっと苦しい戦いになると思いますよ…覚悟を決めて、応援じゃ。