今シーズン総括01

第一弾は野手から。

検証に入る前に、今季のトピックを挙げておきたい。

1.正捕手の確定
昨年の捕手の起用人数は6人(高谷・的場・的山・山崎・田上)だったが、今季は3人(高谷・山崎・田上)に絞られた。一番多く起用されたのが田上。リーグ最多の捕逸をマークするなど守備の不安定さは相変わらずだったが、規定打席に到達し20HRを放った打撃で他を圧倒し、正捕手の座を勝ち取った。


2.柴原のレギュラー剥奪・長谷川・明石の台頭
今季開幕戦の外野トリオは中西・アギーラ・柴原だったが、3人共に打撃の調子が上がらず4月中にスタメン落ちし、代わりに長谷川がスタメン定着。規定打席に到達し、川崎以来5年ぶりに新たな3割打者が誕生した。そして8月、本多・川崎の不調を尻目に明石が登場、優れたバットコントロールと両者になかった選球眼を武器にシーズン終盤まで3割をマークする活躍、来季のレギュラー獲得を予感させた。


3.本多・川崎コンビの限界見える
足を武器に2007年以来1・2番コンビを組み続けてきた本多と川崎。両者高い打率を残してきた一方、早いカウントから打ちにいく打席が多く、出塁率の低さが課題であった。この弱点が今年、本多の故障、川崎の打撃不振で浮き彫りになった。四球を選べないのに安打が出ない。相手を掻き回さなければならない1・2番が、安牌と化してしまったのだ。


まず捕手について。田上が規定打席に立ち、「ポスト城島」問題には片が付いた感はあるが、安心はできない。田上は膝に爆弾を抱えている為、いつ「爆発」しても良いように控え層を出来るだけ充実させる必要があるからだ。更に、田上のキャッチングと肩の悪さはこの3年間で少しも改善されていない事も注目しなければならない。聞く話によると、馬原や新垣が不振に陥ったのは捕手が田上になり、思い切って腕が振れなくなったかららしい。だとするなら、田上を捕手として使っていく為には、田上自身の技術向上はさることながら、彼の代わりを務められる捕手を複数用意して新垣や馬原の登板時にはすぐに田上をベンチや一塁に追いやれる環境を作らなければならない。その為には安定勢力の山崎以外にも高谷や堂上にも出番を意識的に与えていく必要があるだろう。

次に長谷川について。彼は今季、打席での粘りという力を延ばしたのが大きかった。くさい球はファールで逃げ、自分の好きな球を徹底して待つ。ホークスの若手選手が中々出来なかった技術だ。それを25歳で身につけたのは大きい。本人は来季に向けて長打力を延ばす事を目指すようだか、常に進化を目指すその姿勢は正しい。松中・小久保の衰えにより長打が減る傾向にあるチーム事情にもマッチしている。


最後に川崎。正直なところ、今季の不調は予想していなければいけなかった。高卒で早い段階からレギュラーを掴んだ選手は必ず、30歳手前でスランプに陥っているからだ。まだまだ老け込む年ではないので来季の復調は期待しても良いだろうが、このタイミングで、明石がレギュラー争いに名乗りを挙げたのは大きい。川崎自身の発奮材料になれば十分な上、川崎がこけても明石が穴を埋められるからだ。いずれにせよ、レギュラー剥奪の危機に直面した彼にとって来季が、さらなる成長を望めるのかどうかの試金石となる。

長くなったので分割します。続きは次回。