今季総括05

今回は秋山采配を振り返りつつ、来季を占ってみたい。


これまで同様、トピックを挙げて検証していく。

バントの多用
今季の犠打数はパ2位の137。私はシーズン中のエントリーではこの戦術を批判する事が多かったが、リスクをできるだけ負いたくないと考えれば致し方なしという場面が多かった事も確かである。実際チーム総得点は60点近く上昇したことを考えれば効果はあったと言えるのかもしれない。
ただ、08年と09年のセ・パ各チームの打撃成績を比べると興味深いデータが生じる。前年に比べて出塁率が1分以上上昇したチーム(F・H)はチーム総得点も上昇し、5厘以上上昇したチーム(G・D・Bs)の内2チームが(G・D)総得点も上昇させた。これらのチームの内、犠打数が大幅に上昇したのはホークスだけである。一方、出塁率が横ばい・または下降したチームは全チーム、総得点も減少させているのだ。「マネー・ボール」でも指摘されることだが、出塁率と得点数は一定の相関性があるという。だとすれば、今年のホークスの総得点が上昇した要因は犠打には殆どなく、むしろ、長谷川の台頭による四球数の増加・田上の台頭による打線における「穴」の消失・チーム本塁打数の増加による相手投手の攻め方。以上の3つのの変化が原因となり出塁率が改善したからだ、と考えて良いはずだ。


「エースにエースをぶつけない」戦術の採用 
例えば今季のハム戦、ダルビッシュの先発時にホークスが立てた投手は以下の通り。

和田(4/10)
藤岡(7/16)
ジャマーノ(7/31)
大隣(8/26)

今季2桁勝利を挙げた杉内とホールトンが1度も先発していないのが分かる。結果ダルビッシュには1勝3敗とカモにされたが対日本ハム戦には勝ち越した。
この結果からは逃げの戦術は成功したかに見えるが、合理化は突き詰めようと思えばもっと突き詰められる。それぞれの投手が最も得意な相手に多く先発出来るようにローテを組むのだ。例えば今年の中日だ。
今季の中日は、横浜戦に先発の柱である吉見・チェン・川井を先発させる事が多かった。最下位のチーム相手に確実に勝ちを得るという狙いもあるだろうが、それ以上に3人共横浜戦が得意という要素があったのが大きかったように感じる。巨人戦に8勝16敗と大きく負け越しながら2位に食い込んだのは、大きく勝ち越した横浜戦のお陰だと言える。
ただ中日は、ペナントレースではあまり重視していなかった巨人に、CSでも大差を付けられて敗退した。合理化を徹底しなかったホークスも、ペナントでは重要視してこなかった楽天に、CSでも敗退した。このことを考えると、CSまで見据えた場合、最終的にはどの相手にも同じように(手を抜かずに・逃げずに)戦ったチームが勝つ、という事なのかもしれない。


話題が少し変わってくるので、ここで分割します。続きは次回。