ストーブリーグ短観08

大博打な「大挑戦」。


大石氏ヘッド就任
秋季キャンプ終了後の大型人事となった今回のコーチ交代。ある意味イ・ボムホの加入よりも大きな影響をチームに与えそうです。
森脇コーチの退任については全く異論はありません。育成としては目立った結果を残す事ができなかった上、守備コーチとしては今季のエラー数の増加に、ヘッドとしては例年通りの9月失速に何らかの形で責任を取る必要があったからです。守備についてはともかく、育成については「本多・川崎を育てた」との評がありますが、川崎が打撃と足を武器に1軍に上がったころは2軍監督を務めており、守備コーチ時代を含めて昇格のきっかけとなった部分における育成にはノータッチ。更に守備コーチとして1軍で指導した本多は守備が売り物の即戦力だったことを考えると、育成面で彼を評価するならば2軍監督時代の結果を見る必要があります。そこで、過去5年の内に2軍監督の指導を受け、その後1軍に定着した選手を挙げてみると…

森脇(04年):明石・城所・神内・馬原・山崎
秋山(05・06年)松田・本多・明石・城所・中西・山崎
石渡(07・08年):大隣・長谷川・高谷・明石・城所
鳥越(09年):明石


※太字はレギュラー

ドラフトでの指名方針の変遷も考慮に入れる必要があるのは分かっていますが、それにしても目に付くのは森脇時代にファームに在籍していた選手の小粒さ。いかに育成が上手くいかなかったかを示す結果となっています。
森脇時代はその後の雁ノ巣に比べて練習量が少なく、チームの雰囲気も緩んでいたという評判が専らですが、更に森脇ホークスの評価を決定付けるのは今月の月刊ホークスの明石のインタビュー。彼曰く「最初の数年はコーチの行っていることが分からなかった」とのこと。明石の言う「最初のころ」とは04年の事。すなわち森脇氏が2軍監督を務めていた時に他ならないのです。となれば、森脇氏の育成力には、「NO」が突きつけられるので、チームを追われるのは当たり前。秋山ホークスを軌道に乗せた段階での首切りは妥当といえましょう。しかし、長年にわたってホークスを支えてきたのは事実であり、その事自体については敬意を表さねばなるまい。ご苦労様でした。


さて、彼に代わってヘッドに就いた大石氏。他球団の血を入れる事は近年のファミリー体質を一掃するきっかけとなり得るので、この人事は半分は正しい。それでは、大石氏の手腕とはいかなるものなのでしょうか。
08年・09年の鷹・檻戦における大石采配の印象は、奇策が好きと言う事。一番強く印象に残っているのはこの試合。その他のカードでもスクイズは何度も仕掛けているようです。この発想は現状のスタッフにはなかった事なので、チームにとってはプラスとなるはずです。しかし、Bsの岡田新監督いわく「大石監督時代はケース打撃の練習はしていなかった」との事。更に言えば近鉄出身の選手を優遇していたとの評もあり、外国人への甘さも含めてその指導力については現時点でははっきり疑問符。ただ救いは、殆どの選手が大石氏とは無関係だということ。そういう意味では、純粋に手腕を評価できると言えましょう。
ともかく様々な禍根を残しての交代劇なだけに、大石氏には冷徹に「結果」を問うていきたい。頑張って欲しいですが、それが「外様」というものです。