読書記録04

乱読(?)再開。


告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

正直、本屋大賞の受賞作ってピンとこないんですよね。ちょうど高校生の時に読んで、共感する材料が多かったはずの「夜のピクニック」でさえ、自分としては「へぇそうなの」てな感じで終わってしまった記憶が。(大学で水戸一高出身の人と知り合いになって、実態を知って笑ってしまったw)
で、「告白」です。自分としてはどうしても読みたいという感じではなかったのですが、家の本棚にたまたまあったので読んでみました。とりあえず、面白いと言えば面白かった。朝の3時過ぎに読み始めたのですが、どんどん目が冴えていきました。人間の「心の闇」をえぐりだした作品との書評が多いようですが、確かにそうですよね。モノローグ主体で事実が見えるようで見えないという展開も、読者を引き付ける要素。(まぁ「藪の中」のパクりなんだけどさw)
それにしても、追い詰められた人間はかくも周りが見えなくなるのかと、ちょっとビビりました。引きこもりの生徒を救おうという一心で奔走し、使い捨てにされたウェルテル。ニュートラルな立場としてこれ以上ない立ち回りを見せたにも関らず、たった一言が原因で抹殺され、森口からは何の謝罪も得られない美月。語弊があるかもしれないが、森口の「私情」に振り回される人々が、何の罪もないのに余りにひどい仕打ちを受けているのが辛い。そう。私、ウェルテルのような人間、自分の価値観を人に押し付けるような人間は、最も嫌いな人種なのです。それでも同情を禁じ得なかった。